チケット・ゲット・オブ・ザ・イヤー金賞受賞。
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今年のシス・カンパニー公演の第一弾の初日へ。太子堂4丁目。
日蓮主義を背景にして登場人物の人物像を紐解いていくシークエンスは、もしも本人たちがいまも生きて観ていたら、彼らもきっと驚愕するだろう秀逸なくだり。なにを言ってんのかぜんぜん頭に入ってこないんだけど最後はなぜか腑に落ちるという摩訶不思議な、黒木さんのあの長ゼリフ。すでに存在じたいがファンタジーな賢治を演じる、中村さんのあの佇まいと訛りのきついセリフ回し。ひとこと発するだけで滲み出てくる、山崎さんのユーモアと知性。これらが融合しながらゆらゆらと舞台ぜんたいに広がっていくときのゆっくりとした時間の流れと緊張感。つかみどころのないフワっとしたファンタジーな要素と、昭和の旧い芝居人たちが好むインテリゲンチャな要素のシーソー・ゲーム。どちらの要素もわかりづらいし、どちらも最後までわからせてくれない。でもなぜか全貌はつかめる、と思うとちょっとだけ高尚な気分になれるけれど、それも幻想だと気づいて我に返る、みたいな舞台。また観たいかと訊かれると微妙なところ。この舞台、なにも知らないで観るのが吉。感動したいなら、初見と同じ種類の緊張感は必須。
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倫也人気恐るべし。もしも延期がなかったら観られなかった舞台。今回は無事に当選。