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adieu TOUR 2022 -coucou- 大阪公演

LUCID NOTE SHIBUYA

なんでも東京公演は渋公だったらしい。なんてこったい。

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秋の関西遠征二日目の夜はadieuのライブへ。湊町1丁目。

ミナホの各会場をあてもなくダラダラと周回していたら、東京のライブ仲間たちとばったり。そのうちのひとりが、お目当てのタイテとかぶったからこれあげる、と言いながら渡してきたのがこのチケット。どんな天秤を使えばそういう選択になるのかわからないと訝しげに言うと、行けばわかると返してきた。どうやら彼女は東京公演をすでに観てきたらしい。そんなにアレだったのかと聞くと、むしろあんたの感想を聞きたいと。そこまで言うなら行ってやろうじゃないか、ということで行ってみた。なんばHatchへ初入場。

adieuのライブは初見・初聴。音源はラジオで数回程度。興味本位だけで行くライブは、たいていは一曲目の最初の数小節で目的は達成する。興味を満たしたあと、退屈を感じ始めたらそこで終わり。聴き続けようとする気持ちが沸いてくるかどうかで真価が決まる。

前ナレはご本人。長めのSEから始まり、影ナレでポエトリー・リーディングをかぶせる、こだわりを感じるオープニング。てっきり全編オケと思っていたのだが、ギター、ベース、ドラムス、キーボード兼マニュピ、これに二本目のギターとパーカス。こだわりを感じる変則構成のナマ演奏。なんだかたのしそう、おもしろそう。いやいや、だまされないぞ。問題は中身だ。

なんでも歌を初めて五年目だそうだ。同じ年代のシンガーがミナホでもたくさん出演しているけれど、彼女ほどMCのうまいシンガーはおそらくいない。しゃべりの表現はとても豊かで、そこに身振りと手振りが加わるから、たとえ拙く見えても、気持ちは充分に伝わってくる。好印象。人気の秘密もわかる。いっぽうの歌は、ほぼ一本調子。アコースティックな二曲以外は、スタンドマイクに身体をずっとくっつけて、一歩も動かずに歌う。一曲だけ、オトナのオンナの色気と妖艶さを漂わせようと試みてはいたけれど、さまになっていない。芝居で言うところの稽古不足、大根、見え見え、臭い、そんな感じ。まだ若いし、ライブの経験も少なそうだし、そりゃ無理だよな、だからぜんぜんだいじょうぶ、こんなの許容範囲さ、でもね。

俗にいう、カッコわるいライブ。グルーブ感ゼロ。カラダ揺らす客もゼロ。三曲目から立たせてたけれど、意味不明。これはいいなあと思えたのはM14くらいかな。どの曲もこだわりが過ぎて失敗している感じ。だれのどんなライブでも、ナルシズムや自己満足を感じた時点で、ステージがどんどん遠ざかっていく。それらをあえてウリにしているならまだしも、彼はおそらく気づいていないし、彼女はもっと気づけていない。とくにアレンジがもう、カッコ悪いというか、しょっぱいというか、正しく表現するなら、ダサい。

LUCID NOTE SHIBUYA

終演後に心斎橋でふたたび仲間と落ち合う。音楽好きなら今日はミナホだよと笑って彼らは言う。いやいや、ふだんなら選ばないライブに行けただけでもライブ好きにはありがたいもんなんだよ。