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三上ちさこ Acoustic Live Tour 2022 “fuleru” – 東京公演

LUCID NOTE SHIBUYA

風知空知でスタンディング。

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このブログでも頻繁に応援しているロックバンドは、残念ながら今年はバンドとしては休業中。そのかわりにメンバーそれぞれがソロワークに勤しんでいて、そのなかのひとりがさっそく先週、十年ぶりのALをリリースしてくれた。聴力以外の力はいっさい求めてこない脱力系ミュージックで、バンドで垣間見られるかれの音楽性とは異なるかれ個人の音を知ることは、ファンとしてもうれしいかぎり。そんなかれの新音源を聴き流しているうちに、諸事情でかれがバンドから離れていた時期を思い出してしまい・・・

当時、かれの復帰を信じていたバンドのリーダーは、新しいメンバーは募集せず、レコーディングだけでなくライブツアーにも参加できるバンドマンをサポートメンバーとして都合よく当ててくれた。そのサポメンが参加した貴重なライブツアーのチケットを店頭で夜明かしまでして入手したのは今でも大切な思い出だ(当時はネットなんてなかった)。サポメンとして活躍してくれたその方も、いまではすっかり大御所のミュージシャンとして認知されていて、プロデューサー、コンポーザー、アレンジャーとしてもご活躍だ。

で、よせばいいのに、その大御所さんの最近の動向も知りたくなってSNSを掘ってみると、関わりのあるミュージシャンのツイートをリツイートしたものばかりがずらりと味気なく並んでいて、案の定、なんとも忙しそう。そのトップに表示されていたツイートが、今日のライブの告知リツイート。なんでも新曲の制作に関わったそうで、これは行かねば、ということで名前だけをリニューアルしたニュー風知空知へ。北沢二丁目。

三上さんはまったくの初聴。知っているのはそのトップのツイートにあった告知文だけだから、知るべきこと、知りたいこと、周辺情報など、すべては現場で埋めていくことになる。ステージから放たれるたくさんの情報量を、耳と頭をフル回転させて処理していく作業は実に気持ちよく、とっつきやすいライブだったなら、なお良し。ということで、いざ。

ふだんの彼女のライブはバンド。今回は初めてのアコースティック。今日はツアーの一日目。ライブは劇場型。計算された芝居ではなく気の向くままのエチュード。歌唱は激情型。たとえアコースティックでも感情を声だけではなく全身で表現する。楽曲は洋楽テイスト少なめの純邦楽ロック。彼女の苦手なものはふたつ。ひとつは衣装選び。いまどきツナギって。昭和のレディースみたいな。もうひとつはアコースティック・ライブ。寂しがる必要などないのに。客席に派手な反応を求めるのはバンドライブでぜひ。おどろいたのはそのノド。今日のような編成のライブだと持て余してしまうくらいの並外れた倍音の声を持つ。これ最強。

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といったことを含めると、やっぱり彼女はバンドマン。ということで次の東京でのライブはバンドライブ。大御所さんも参加するらしい。これは行かねば。