時間か場所か。
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今年の土岐さんの真冬のツアーが始まった。今日は初日。太融寺町。
ずっと以前、米国にトワイライト・ゾーンというテレビ番組があって、国内でたいそう人気を博したそうだ。モノクロ映像のその番組は、しばらくして日本にも輸入され、とたんにミステリー・ゾーンというタイトルに変えられた。という経緯を知っていたことがどれだけ影響したのかはわからないけれど、土岐さんの新盤のタイトルがトワイライトだと聞いて最初に思い浮かべたのは、ミステリーということばだった。ミステリーということばが内包する力は強く、心に強烈な印象を与える。奇想天外、奇々怪々、キテレツ、神秘的な、不可思議な、非科学的な、そんなの現実ではありえない、それは小説のなかだけの出来事だ、これだけ証拠が揃っているのに、世の中は謎だらけだ。ミステリーということばは、事実や解答などはけっして得られない、という意味を背景と内側に隠し持っていて、だからこそひとはそれを求めることをやめられないし、やめられないことをむしろ楽しんでさえいる。人気のパワーワードだ。
土岐さん曰く、今回のアルバムタイトルのTwilightは、前半は夕方から夜にかけての、後半は夜から朝にかけての、その時間帯を指しているらしい。そのあいまいなふたつの時間帯を楽しむにもってこいの楽曲をつくり、集めて、アルバムにしたそうだ。トワイライトと聞いてミステリーを思い浮かべてしまうひとが今日のライブを体験してどんなミステリーを想起したのかはわからないけれど、少なくとも今日のライブではいくつかのナゾを発見し、その答えを探し求めたはずだ。たくさんあったはずの選択肢のなかで、今回彼女はなぜそれらを選んだのか、それらをどう受け止めて、いつなにをどうすれば楽しく時間を過ごせるのか。今回のツアーはぜんぶで七公演。のこり六公演でその答えを見つけられるのか。まさにミステリー。こうご期待。
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明日は名古屋。ここのとびきり晴れた風のない冬日のトワイライトタイムは、都会にいることを忘れさせるグラデーションな逸品。