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修羅雪姫 – 二日目 夜公演

LUCID NOTE SHIBUYA

なにがなんでも行きたかったライブのチケットがまったく入手できなかったとき、そのやり場のない気持ちの穴埋めに他のライブのチケットを取ってしまうというクセを、来年こそは正したい。

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というわけで、今日は不本意にもシブゲキへ。元シネセゾン。道玄坂2丁目。

シブゲキは、アイドル系をパンダにして大部屋系で脇を固める企画モノで使われることが多いコヤ。こういう日じゃなければ、まず行こうとは思わないのだが、行きたかったライブのステージを夢想しながら、ひとり悶々と過ごすよりは健康的かなと。

今日の公演のパンダは今泉佑唯さん。声量が乏しい所為か、セリフが頻繁に途切れて聴こえてくるのだが、でも大丈夫。そのたびに声の大きい脇の役者さんが長い説明セリフで丁寧に本筋を教えてくれる。今泉さんの感情の起伏や変化は、音響と照明がセリフのかわりに表現してくれるから、どれだけ彼女が下手な手を打っても、観る人が困ることはけっしてない。そのかわり、ステージには絶えずBGMが流れていて、キメのタイミングでは効果音がカキンと鳴り、ギラギラとクルクルが繰り返されるまばゆい舞台を観ることになる。見どころと言われた殺陣のシーンは、BGMのリズムに合わせて振り付けされているから、アイドルの下手なダンスを見ているような感覚にもなれる。

ストーリーは、ひとりの弱者がフィジカルな暴力で多くの強者たちとの対決していく、という二項対立を軸に展開される。次から次へと強者に勝っていくたったひとりの弱者。まさにヒロイン。弱者も強者も裏ではそれぞれ事情を抱えているが、その解釈と酌量は観るものに委ねる、という仕組み。カーテンコールで今泉さんがおっしゃったメッセージとはなにを指すのか。貧しきものや弱きものを救うのが正義と言うのなら、この芝居に限ってはウソっぱちだ。なんたって今日の席料は9,500円。貧しきものに愛の手を? とんだ三文芝居だわ。

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でもまあ、気は紛れたし、アイドルも観れたし。