対バン五組のうち、今日も都合一択で。
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由薫は「ゆうか」と読む。受付スタッフにお目当てを訊かれて「ゆ・#※?さん」と濁して伝えると、「ゆうかさん?」と訂正された。覚えた。もう大丈夫。北沢2丁目。
初出しの二曲目と三曲目の「170」。前回のライブ以来、彼女は訥々とおとなしいトーンでマイナー調のうたを歌う、というイメージを持ってしまっていたのだが、この二曲がまんまとそれを覆した。「170」は前回も歌ってくれていたようで、サビのフレーズが記憶にうっすらと残ってはいたのだが、その記憶と今日受け取った印象とははまるで違っていた。新曲には最近のミュージシャンとしての私的な心情がぞんぶんに綴られていて、今年の世情にさんざんな目に遇っている人には共感しやすい逸品。どちらの曲も、気づくとステージに上半身がぐいっと引き寄せられていた。おとなしいトーンで、なんてとんでもない。ヴォーカルには氷が燃えるようなを底知れない質量があって、街中でふいに聴こえてきたときにどこから流れているのか思わず音源を探してしまうくらいの熱量がある。タイトルの「170」にどんな意味があるのかはわからないが、歌詞のなかにはオトナなリスナーには辛らつなフレーズも。いいもの持ってるなあ。たとえその根拠が希薄だったとしても、情熱は情熱だ。
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彼女のライブがあっという間に終わるのは、ライブぜんたいのテンポが良いから。