あれから十年かあ。
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感覚では三年前くらいなのだが。南青山6丁目。
「音の旅行記」というキャッチフレーズの「プレイス・トゥ・ビー」。企画ありきの制作だったのか、実は後付けのコンセプトだったのか今となっては不明だが、十年の時を経た今、その原型さえも不明な別モノのライブに仕上がっていた。
先週のスペクトラムがメロディアスで流線形なプレイだったとすると、今日のプレイス・トゥ・ビーはドット絵のようなライブ。大小さまざまな円い孔をステージのあちこちに穿ち続け、終わってはじめて意味のある絵として曲が浮き上がってくるようなプレイ。スポーティなスピード感と永遠に正しいリズム感を背景に音数を限りなく増やした演奏が(彼女の右手には指が四十本くらいある)、聴き終わったあとの幸せな疲労感と溢れる達成感を普段の倍、さらに倍にしてくれた。こんなライブを毎晩体験する体力はそれこそ十年前に失くしてしまったが、彼女はこれを今日から四日間で計八公演をこなす。モンスターは決して衰えないというウワサはどうら本当らしい。
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開演前には充分な水分補給を。