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Laguna 12th Anniversary “Silver and Gold”

LUCID NOTE SHIBUYA

初見の心得。

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おかげで今では下北沢も徒歩圏内。今日は対バン四組のうち、都合一択で。北沢2丁目。

由薫は「ゆうか」と読むらしい。初聴。ライブ活動は今年から始めたという最近二十歳になったばかりのシンガーソングライターさん。ということは、少し歩いただけで楽器を抱えたミュージシャンに頻繁に出くわしたり、入り待ち出待ちのファンでごったがえしていたり、会場で重要な関係者や有力者と思いがけず出会えたりするような、シブヤやシモキタのライブシーンをほとんど体験できないまま、今日に至っているわけだ。とっかかりの一年目が、ここまで現場仕事の少ない年になるとは想像もしてなかっただろうな、などと思いながら聴く。

初見初聴だから、今日は会社員でいえば名刺を交換して軽く打合せをするようなライブだ。第一印象は大切だが、こういうときのたいていは、身だしなみや仕草、顔の表情とその変化、言葉遣いや声のトーンなどといった表面的に認識できるものだけを用いて、これからのお付き合いを円滑に進めていくための距離感や立ち位置を探っていくことになる。いままでどんな音楽を聴いてきて、どんな音楽が好きで、どんな音楽をやりたいのか、歌詞やメロディ、アレンジ、オリジナリティ、演奏技術などから形成されるサウンドやグルーヴ、ノリといったものが、どのように心身に作用して日常生活に機能してくれるのか、といったことを深く想像したり広く感じたりするのは、もう少し打合せを繰り返してから、ということになる。もちろん出会った瞬間に明るい未来を想像させてくれるミュージシャンもいるけれど、そんな稀有なケースを求めてライブ会場にわざわざ足を運ぶリスナーは、それこそ稀有だ。ましてや今日のお相手はまだなんの色も紐も付いていない新人さんだ。いや、紐はついているかもしれないが、七曲聴いた限りでは色はまだなかった。求め過ぎはケガのもと。次に聴ける機会がいつになるかはわからないけれど、そのときにどんな色がどれくらい付いているか、どれだけその色を感じられるかを楽しみに。

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ラグーナさんのガンバリに感謝。