LUCID NOTE LUCID NOTE | Music show reports and Play stage reports

キレイ-神様と待ち合わせした女-(2日目・ソワレ)

LUCID NOTE SHIBUYA

麻生久美子さん、コンプリート中。

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再々々演の理由。道玄坂2丁目。

二十五曲もあるのに、これという楽曲がまったく見当たらない。うたの終わりに少しでも静寂があると間の悪さが際立ってしまう駄曲がズラリ。激しく踊りながらヘッドマイクで歌っていた役者さんが、呼吸の整うまえに間髪いれずにセリフで間をつなげているのはそういうことだ。そして、長い。長すぎる。歌さえなければあと一時間は短くできる。登場人物が多すぎて一人ひとりを描き切れていないし、背景も奇想天外なこどもだましで、だれかに共感したりストーリーに没入することもない。脳内をフル回転させて謎を解く必要もない。客はただ観るだけで、参加できる要素も機能もない。これで中だるみしない人は、ミュージカルによほど慣れている人か、好きな役者さんが踊り歌うレアな姿を観ることを目当てに来た人くらいだ。つまり今日は、麻生さんだけを観た。他は知らん。あいや、鈴木杏さんも観た。彼女の体当たりなアレは捨てられない。良々さんも観た。出番は少なかったけれど彼はいつだってそいういう役回りだ。岩井さんとサダヲさんは途中から観た。彼らは一度目に入ると目の離せない役者さんだ。生田さんも神木くんも小池さんも観た。でもほんのちょっとだけだ。彼らはほっといても大丈夫。コンダクターの門司さんと彼が見るモニター画面も観た。それが見える席だったから。キーボードの若田さんの顔と指先も観た。ピットの動きは役者さんの動きを観るよりもおもしろい。そう、やっぱりこのステージは、観るだけの芝居。

LUCID NOTE SHIBUYA

客にまた観たいと思わせないようにあえて長くしたとしか思えない。