一年もほったらかしのまま。
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宮﨑さんのうたごえを聴きにグレイプスへ。対バンは和田みづほさん。千駄ヶ谷4丁目。
足しげく通っては顔を見せていると、対人距離感を保つための感覚がマヒして、楽しみかたがわからなくなったり、書きたいことを書きづらくなるもので、結果としてこの一年、なにも書かずに放置してしまった。行けるときはちょこちょこと伺ってはいたのだが、記事にするのはなんと一年ぶりの宮﨑さんのライブ。今日行くことを決めたのは、先日の木曜日の夜、帰り客でごったがえす武道館の南口付近。火曜日からその日までの三日間、彼女と同じ場所で同じ音楽を聴いて過ごし、同じ曲たちに感動したことを知ったときだ。別の誰かが間に入り、緩衝材として機能してくたおかげで、近づき過ぎた(と思い込んでいた)距離感を、すっかり根こそぎとっぱらってくれた。やるな、ジョン・メイヤー。これで思い存分、彼女のうたごえを聴ける。
そんないちリスナーの思いも知らず、彼女が選んだ今回の洋楽カバーは(ライブで彼女は洋楽カバーを必ず1曲披露する)なんとジョンとエド。その曲は武道館二日目の後半の5曲目、アコギだけでジョンがうたい、この日もっとも長いアコギリフを披露してくれた曲。その長かったリフの部分を、今日の彼らはエドの曲にとっかえてきた。「Neon」からの「Shape of You」からの「Neon」。このアレンジをたった一日で仕上げたというのだから、彼女のもつ音楽の技術、ジョンとエドへの畏敬、ライブへの情熱に、感動しないわけがない。すごいものを聴いてしまった。ちなみに、オリジナルでは「Why」のダブルギターアレンジの仕上がりに度肝を抜かれた。この曲、化けたなあ。初聴のときはぴんとこなかったけれど。今日はしっかりリズムにカラダが揺れるという・・・またやられた。
和田みづほさんは、今日のイベントの首謀者。以前感じた違和感は今日もしっかりと耳にまとわりついてきたが、二度目ということもあって最後には耳は慣れていた。楽曲はニューミュージックやフォークソング寄りのメロディで、軽快なポップ感はほとんど味わえない。ソウルフルとまではいかないが、古き良きダーキッシュな歌謡曲のテイストもあって、涙ぐむひともチラホラ。一転、宮﨑さんとのコラボ曲「torta」は明らかに顔つきもうたごえもひとが変わっていた。今日はピアノだけの伴奏だったけれど、この様子ならバンドセットになると受ける印象はガラリと変わりそう。義理堅く実直で、丁寧なうたいっぷりとひとがらは、いまの時代、いまの渋谷の音楽シーンでは稀有で貴重だ。ほんのすこし吃音気味のMCはありのまま、そのままがいい。
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ギターの澤近さんもおっしゃっていたが、プロだろうがアマチュアだろうが、自分へのインプットは必要だ。洋楽にしろ邦楽にしろ、気に入ろうが気に入らなかろうが、ジャンルに関係なくたくさんの音楽をライブでインプットしないと、いざアウトプットするときにつまづくことになる。という意味では、いい一週間だったなあ。