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酔夏男新スタッフ窪穂乃香 PAデビュー『好きな人、音、むすんじゃいました』

LUCID NOTE SHIBUYA

酔夏男は「よかにせ」と読むらしい。けっしてスイカオトコではない。

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二夜目の心斎橋は、こじんまりと対バンイベントへ。心斎橋筋1丁目。

酔夏男はずいぶん前に鉄平さんからおすすめされていたお店のひとつ。大手の商業施設のあるブロックに隣接する小さく古い雑居ビルの3階に入居している。バーを名乗ってはいるが、カウンターの上部には手書きで今日の献立てが書かれた白地にオレンジの縁取りの短冊が10枚、揺れていた。フロアはじめっと湿ったソファーがテーブルとセットでいくつか整然と配置され、コンクリートの床は木目調の材質シールでカヴァーされていた。黒色を基調とした壁面いっぱいに、いままでの出演者が思い思いの場所に出演の証しをホワイトペンで書きなぐっていた。使われなくなってしばらく経つ昭和のスナックをモチーフにして、映画の撮影で使われる大道具をそのまま組み立てたようなお店だ。そんな場末な雑居ビルの一角で、10歳代から20歳代の女子4名と男子1名の対バン。お客さんは10名前後で、スタッフと出演者の合計と数の上では引き分け、あるいはすっかり負けていた。これぞオオサカ・シュール。

ここから対バン恒例のひとこと感想コメントを出演順で。

奈桜さん。今日初めてPAを担当した穂乃香さんの元相棒で、今日が初のソロアクト。弾き始める前に必ず最初のコードを試し弾きするというPA泣かせのギター弾き語り。人生は一発勝負。そんな癖は直したほうが気持ちいい。

viva la vidaさんは、BOYフロム那覇。初の大阪遠征。貧乏ミュージシャンを絵に描いたような風体と風貌で哀の言葉を大切にうたう。沖縄ブランドは東京ならまだまだ使えるシーンもあるが、大阪ではどうなんだろう。のどはたいせつに。

ひろせむつみさんは日焼け跡が眩しい19歳。キーボード弾き語り。奇をてらったメロディとアレンジは個性の追求に重きをおく若い人だけが持てる特権。奇も積み重ねていけばいずれそれも味となる。今日の出演者のなかではもっともプロ意識が高そう。

岩部真実さんは泣きっ面よりも満面の笑顔が似合うはずの今日の最年長。自分のつくった曲が自分に似合っていないことに気づいたとき、ぐんと伸びてきそうなうた声を持つ。その程度の年齢で焦るなんて今日のお客さんたちにはたいへん失礼だ。笑顔は大切に。

トリは長谷川夏帆さん。20歳のギター弾き語り。今日のなかではという限定つきで、もっともメジャー向きのメロディメーカー。ギターのアレンジも楽曲にぴたりと合致していたが、技術がそれに追いつかず。なんでも先月、渋谷で歌ってくれたらしい。またジージに来てくれたときはぜひ。

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情報発信はSNSだけというミュージシャンたちの慣れ合いで成立するプロレスのようなイベントを許してしまう酔夏男。プロを目指すミュージシャンには似合わないお店だが、音楽好きのミュージシャンにはたまらないだろうな。こういうお店、いまの渋谷では探しても見当たらない。いいな、大阪。