LUCID NOTE LUCID NOTE | Music show reports and Play stage reports

野沢香苗 二胡コンサート

LUCID NOTE SHIBUYA

千代田区一番町。ホントの都心の一等地で二胡を聴く。

例えば、洋服選び。自分がいいなと思う服が、必ずしも自分に似合う服とは限らない。

音楽にもそれが言えていて、自分がやりたい音楽が、必ずしも自分に合うとは限らない。セルフ・プロデュースの上手いミュージシャンは、そういうところをしっかりわきまえていて、人前に出てもソツがない。今日の野沢さんは、まさにそういう「上手い人」のひとりだった。

自分にぴたりと合う楽器を見つけて、自分のやりたい音楽を奏でてて、それがまったく違和感を感じさせない。珍しいはずの二胡という楽器が、まったく特別なものに見えなかったし、聴こえなかった。こういう芸当を自然体でやってのける人を、ライヴで観たのは久しぶりだ。

二胡の生音を意識して聴いたのは初めてだったけれど、驚いたのは、スタッカートも表現できるってこと。弓の動きを止めない限り、常に音は流れるはずなのに、無理なく離れて聴こえてた。なんで?っていうかすごい! そんなスタッカートがたっぷり聴ける新曲の「時空飛行」が今日のお気に入り。

以前、今日と同じくらい、夜風が肌にべとつく6月の梅雨の夜、代々木にある某ライヴ・ハウスで、彼女をお見かけしたことがあります。そのときは、今日よりももっと近くに、こぶしひとつくらい離れた距離に彼女はいて、その身長の差に愕然した記憶があります。