平日夕方5時に三宿じゃなくて、休日夜7時に渋谷だったら、もっと凄いことになってたと思う。
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一度は行っときたいライブシリーズの第二弾。石川さゆりさんの周年ライブへ。テーマは「日本の心」。休憩ありの二部構成。太子堂1丁目。
第一部は、プロパーのギター、ベース、ドラムス、バヨリン、チェロ、リード、鍵盤に加えて、邦楽器の三味線、琵琶、尺八、二胡、さらに鼓童の和太鼓、和笛、鳴りモノ等々を含め総勢20名弱、同期なしの全編ナマ音。2回の衣装替えをはさみつつ全12曲。鼓童のみなさんは上手下手を縦横無尽に動き回り、石川さんもポップミュージックのライブでは定番のコールアンドレスポンスで観客を煽り倒す。第二部は、人間国宝からレッスンを受けたという義太夫「石川さゆり誕生奇譚」から始まり、椎名さんや小渕さんの提供楽曲、朗読、ギターとのデュオ、45周年の記念曲(16ビート!)、そして2曲の生涯代表曲等々を取り混ぜて全8曲。アンコールは、最新曲の披露(変拍子!)と、客席との大合唱のオーラスで幕。休憩時間を含めて全2時間半で22曲。これを昼夜2回?、ご、59歳が???・・・モ、モンスターだ。
第一部の鼓童とのコラボステージはずいぶん手厚い構成で、それだけで公演が成り立つくらいに完成されていた。和太鼓との動的で激烈なサウンドは、長いファンには新鮮なショーとして、さゆり素人にはコレだけじゃない感を増幅させるという粋なアレンジ。第二部は打って変えて、丁寧な楽曲説明のMCを絶妙なタイミングと話術で挟みつつ、プロパーバンドとともに彼女の過去と今を静かに熱く歌いあげながら、ここにしかないという場所に未来への布石を置く。石川さゆり此処にあり。かっこ良過ぎた。
石川さんはいいミュージシャンだが、一流のミュージシャンでもある。津軽海峡・冬景色のリリースは40年前。今ではあまり使われなくなった演歌というジャンル名が世に定着し始めた時期で、石川さんはそのとき19歳。彼女は今でも自分の歌を演歌ではなく歌謡曲と呼ぶ。
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ひとりの自己満な野次さえ聴こえなければ満点のライブ空間。これを軽くいなしたユーモアたっぷりな石川さんのコメントは、さすが重鎮。