LUCID NOTE LUCID NOTE | Music show reports and Play stage reports

福井友美(P)クインテット

LUCID NOTE SHIBUYA

この不景気でギラギラ度がだいぶんユルくなってきた六本木へ。

サテンドールも福井さんも、サポートされているメンバーの方々も全て初めて。それでも緊張せず過ごせたのは、決して神経が図太いわけではなく、ゲストに大城蘭さんと平岡雄一郎さんがいらっしゃったから。全てが初めて出会う音だから、なるべく根拠のない先入観は捨てて、好みの音だったらイイなぁ、ぐらいの期待感だけで聴くことを心掛けたつもりだった。

今日はピアノ、ベース、ドラムの他に、サキソフォンとトランペットを加えた5人組。なので、ホーン隊のパーンッ!と小気味よく弾けるような音を期待してた。が、どうしたことか、ファースト・セットは終始、やんわりな音が続く・・・不思議だ、トランペットってもっと強く大きい音の出る楽器だと思うんだけど・・・、

聴き取りづらいくらいに小さて繊細。その瞬間からトランペットの音に注聴させられる。セカンド・セットも、ちょっと眠くなるくらい柔らかい音のトランペット。なんでこんな音なのか、パワー不足?それとも音響?・・・頭の周りにはてなマークが浮かんでは消える。ということで、セカンド終了後に、思い切ってご本人を捕まえて伺ってみた。

ナルホド、そういうことだったのか。決してパワーがなくて小さい音しか出せないのではなくて、そういう音を出せるように努力されてるのだそうだ。すごい。トランペットって、チカラ任せに吹かないと音なんて出ないと思い込んでただけに、お話を聞けば聞くほど、ナルホドが感動に変わっていった。

そしてそのあとすぐに、平岡さんにも講義を受ける。それによると、「アンブシュア」なるものがキレイじゃないと出せない音、なのだそうだ。無知って罪だよな・・・でも、セカンド後に教えていただけたおかげで、サード・セットは不思議さよりも、知らなかったことを知った嬉しさと、それを生で聴けてる喜びの中で聴くことができた。これってライヴだ。

そんなトランペットの音が聴けた今日のライヴは、アウェイだったけれどかなりの収穫。そしてこんな素人リスナーを仰天させたトランペッター、その名は「伊勢秀一郎」さん。ありがとうございました。先入観を捨てて聴くには、もっと知識が必要なようです。