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Cocco きらきら Live Tour 2007/2008 アコースティック・スペシャルナイト

新年一発目のライヴ!

開演前。ステージ上には、都会で初めての独り暮らしを始ようとして田舎から出てきた垢抜けない女子が、とりあえずスーパーの家具売り場を見て回り、妥協して安く買ってきたような、よく言えばファンシー、悪く言えば安っぽい家具や雑貨をまるで楽器を隠すかのようにこじんまりと並べてありました。これを見たときから、ちょっと違うな、と・・・(笑)

やる気があるのかないのか解らないようなトーンでご本人による前説が流れて、友人が染めてくれたという、藍染めの絞り生地でこしらえたドレスを着たご本人が登場したのは、開演予定時刻を20分近くも過ぎてから。この段階ですでに期待していたライヴの緊張感は失せて、よく言えばリラックス感、悪く言えばダラダラ感が・・・。

ライヴ中、曲間のスタンバイでもステージ上の照明は落とされず、明るいままに、楽器の交換やチューニングなどをされたのもライヴ全体のメリハリをなくしていたような気がしました。出演者の様子をあえて見せることで、観客との距離感を縮めたかったのかもしれませんが、それは、実際にはとっぱらえない、出演者と観客の間にある壁を否応なく見せてしまっているわけで、コアなファンの方々には効果があっても「いちげんさん」にはまったくの逆効果でした。

MCでご自身を「あっちゃん」と呼んでらっしゃいましたが、そもそもそういうキャラだってことを知らない「いちげんさん」は、それに慣れるまでにはある程度の時間が必要で、そういう点でも、今回のライヴ、かなり乗り遅れてしまいました。

歌は上手いし、声量もある。キャッチーな曲でリアルな声質。決して嫌いではないアーティストだったのですが、ルックスの第一印象が、気丈に見えて実はとても内向的で儚げにも見え・・・情緒不安定で、触るとすぐに折れちゃいそうな感じ・・・それゆえに、歌詞やメッセージに説得力もなく・・・要するに、すべてがウソっぽくて・・・そのウソを隠そうとして一生懸命歌ってる、そんな印象を受けました。「先が知りたければ生きること」って、それって自分に言ってないか?

とまあ、そんなことを感じてしまうと、ライヴを楽しめるような状況にはなかなかなれず・・・ライヴ終了。救いだったのは、アンコールがなかったこと。聴いてるのがなぜだかつらくなる、そんなライブでした。

太田恵資さんのフィドルは感動的でした。バヨリンって、あんな音も出せるんですね。