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武部聡志 Premium Duo Session Vol.6 ~Pf.武部聡志 × Vo.川江美奈子~ Birthday Special

LUCID NOTE SHIBUYA

デビューさせてもらったことに、舞台裏で動く人たちに、続いていく毎日に、偉大なる母に、出会えた多くのミュージシャンに、過ぎてきたものすべてに、亡き父に、若き日の仲間たちに、愛するパートナーに、生まれてきてくれた子どもたちに、むっさい客どもに、師匠・武部さんに、心を込めて花束を。

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感謝一色。セルリアン。

川江さんと武部さんが携わった多くの楽曲のなかから、感謝をキーワードにして選び抜いた曲たちを、武部さんのアレンジと伴奏で、川江さんが歌う。一曲ずつ丁寧に、その曲にまつわるエピソードや歴史やストーリーを解説し、演奏する、というライブの進行は、メロディや歌詞に対する聴くものの集中力を、一気にひとつの束にしてステージに集める、これぞライブ、というライブ。一曲ずつ丁寧にだから、スピード感はないけれど、音に集中したぶん、時間の経過に気付けずに、あっという間だった。

事前にライブのテーマを客に告知するという手法は、テーマを隠して進行するライブよりも曲に集中しやすい。川江さんの楽曲を熟知するリスナーは、次はなにに感謝してどの曲を歌うのかという楽しみかたをするだろうし、川江さんの楽曲をまったく知らないリスナーは、そのエピソードに対してどういう歌詞がつづられているのか、という聴きかたで楽しめる。川江さんは好きだけどそれほど歌詞には着目してなかったリスナーは、これまで聴いてきた曲たちをいつもとは違う角度や視点で聴かされることで、まったく違う曲に聴こえただろうし、メロディに着目してきたリスナーは、武部さんのドラマチックなアレンジでまったくに違う曲に聴こえたかもしれないい。こんなふうに、ひとつずつ、すべてのだれかのためにライブを構成する武部さんは、やっぱりすごいや。

川江さんのピアノの弾き語りは、それだけで完結する。潔く、もの足りなさを感じさせない。武部さんのピアノの伴奏は、それだけでは終わらせない。聴くものの音楽欲を触発して引っ掻き回すなにかがあって、次のセッションにも行きたくさせる。これはワナだな。

LUCID NOTE SHIBUYA

JZのウェブサイトの、今日のライブの告知ページ。理由は定かではないけれど、川江さんのお名前を告知当初は伏せていた。次回のセッションがあるかどうかは不明だが、もしもあるとすれば同じ告知方法になるかも。次回のセッションは・・・