LUCID NOTE LUCID NOTE | Music show reports and Play stage reports

佐々木詩織 and THE BROWN DOGS

LUCID NOTE SHIBUYA

本日、ダブルヘッダ。

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2ゲーム目は、佐々木詩織さんのワンマン。三宿1丁目。

大学を卒業して2年目の秋というとまだまだ駆け出しで、仕事や生活にもっとがむしゃらに、がっついても良い時期のはずだが、彼らのステージからは、その必死さをまるで感じない。このお行儀の良さは、メジャーシーンのサポートという仕事をこなしつつ、一方でミュージシャンとしてのアイデンティティを作り上げる途上にあるから、ということなのかもしれない。

井上薫さんのアレンジは、その昔に一時代を築いたシティポップ、ジャパニーズAOR、ニューミュージックというジャンルの音楽を原型にした、50~60代のリスナーには懐かしいサウンド。親の世代が聴いていた音楽を、その子どもがひも解いて研究し、さらにそれをライブで実践するという・・・なんともこう、複雑な気分にもなるのだが、演奏する楽曲が佐々木さんのオリジナルなのだから、それはそれで驚愕だ。これまで聴いてきた音楽をバックボーンにして、それらをトリビュート的に自分の音楽に組み込んでいく作業を、井上さんは意識的にやっていて、それを公言さえしている。しかもこの高いクオリティは、並みのアレンジャーじゃない。

肝心のフロント、佐々木さんのステージングは、大学のサークルバンドが学祭のステージに上がったときの残り香がほのかに漂う、いわゆる「学生のノリ」をいくぶん引きずった感じなのだが、一方で「これじゃいけない」という思いも強く感じられ・・・要は、まだまだなのだが、声だけは一級品を軽く超え、特級品に近い。彼女も大物ミュージシャンのバックコーラスをつとめる才女。こういう声をライブで聴かされると、おのずと音源が欲しくなるのだが、それもこれも「作り上げる途上」ということで。

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佐々木さんの歌声を聴くには、ここ→ ずっと feat.佐々木詩織 by ブルー・ペパーズ (Blue Peppers)
または11月15日リリース予定のブルー・ペパーズの新譜で→ VIVID SOUND